2017年12月1日金曜日

ヘイトとパワハラを商品にしているだけ 蟹江幹彦

 今回の書人両断は自称社長である。
 今年最後の書人両断にしては小物なのだが、断じて許す訳にはいかない。今年最後の書人両断で血祭りにあげてやらねばならない。


ヘイト出版社・青林堂の社内パワハラをNEWS23が報道! ネトウヨよ、目を覚ませ、ヘイトとブラックの親和性

http://lite-ra.com/2017/02/post-2903.html
 青林堂で起きている社員へのパワハラが、2017年2月6日放送の『NEWS23』(TBS)で特集され、話題になっている。青林堂といえばかつては伝説のサブカル漫画誌「ガロ」(休刊)の版元であったが、1999年に現社長の蟹江幹彦(以降幹彦被告と呼称)が経営についてからというもの急激に右旋回。とりわけ近年では、在特会の桜井誠元会長(現極右政党:日本第一党代表)の著書『大嫌韓時代』や、よく萌えキャラが表紙に登場するネトウヨ雑誌「ジャパニズム」など、嫌韓反中本やヘイト本を量産している出版社として知られる。
 『NEWS23』の特集では、主に、青林堂に勤めていた男性(48)にスポットが当てられた。大学卒業後、複数の出版社を渡り歩き、長年営業の仕事をしてきた男性。2000年に青林堂に入社し2年後に一度は退社したが、14年、ひょんなことから契約社員として再入社することになったという。
 ところが、再入社後、営業に関わる社員の意識改革につとめたという男性に対し、蟹江社長や専務(幹彦被告の妻蟹江玲子、以降被告と呼称)が悪口を言うようになったという。そして、入社から半年後の15年12月、青林堂は営業成績や勤務態度に問題があり、契約違反の行為がなされていたとして解雇を通告。男性は、労働組合「東京管理職ユニオン」を通じて裁判所に地位保全の仮所処分を申し立てて、裁判所は解雇を無効とした。男性は退職も考えたが、会社側とのやりとりのすえ、復職にいたったという。
 しかし、復職後の男性を待っていたのは、あまりにも陰湿なパワハラだった。会社は、男性に自費出版の顧客を獲得するように命じるのだが、一方で名刺も与えず、さらに就業時間中の外出さえ認めなかったという。また、パソコンこそ与えられていたが、電源コード以外はまったく繋がっておらず、インターネットも使用不可、書類のプリントアウトすらままならない状況に追い込まれた。こんな状態で、いったいどうやって自費出版の顧客を募ることができるのか。ましてや、営業の業務など不可能と言うしかないだろう。だが、会社は"成果があがっていない"として男性を責めたてた。
 番組では、男性が録音していた社内の会話が放送された。その生々しい肉声は、もはやイジメとも呼べる理不尽なものだった。
 たとえば玲子被告から「企画考えてないじゃん、自費出版!」とヒステリックな声色で言われた男性は、こんな状態では何もできないと反論するのだが、幹彦被告と玲子被告は「お前がバカだからできないんだよ!」「そうだよ!能力が足りないからじゃない!」と聞く耳を持たない。男性は「就業時間中に実現可能な仕事にしてくださいと訴え続ける以外は本当になかった」と振り返っているが、上司や他の社員からも凄んだ口調でこんな悪罵を投げつけられていた。
「お前、何一つ会社のために役に立つことやんないな」
「性格悪いんだから、もっと稼げや!」
「あのさあ、一つだけ聞くわ。お前本気で編集やる気あんのかコラ! 本気で編集やる気あんのか聞いとんじゃ!」
 さらに、会社は、男性を支援するユニオンが青林堂の取引先の名簿をもとに救済を求める文書を各所に送ったことをあげつらって、ユニオンから名簿を取り返さなければ職場にいてもストライキとみなすと恫喝。玲子被告が「今日の業務命令にあなた今拒否をしていますから、サボタージュとみなして、スト決行! はい12時!」と言って、男性が「僕の話は聞いてもらえないんですか」と返しても「はい、スト決行!」と強引にストライキ扱いする有様だった。給与も半分に減額されたという。
 こうしたなかで、男性はある朝、ベッドから起き上がれなくなってしまったという。「追い詰められた状態で、もう、ちょっと通勤は難しいなと。行くのがとにかく辛くて」。診断は適応障害だった。ストレス性の咳と睡眠障害で会社を休まざるを得なくなるまで、追い込まれたのだ。
 社員から仕事をする環境を奪っておきながら、「バカだからできない」などと罵倒する。これがパワハラでなくてなんなのだろう。ブラックとしか言いようがないが、一方、『NEWS23』から事実確認の取材を受けた青林堂は、放送前から公式ツイッターアカウントに〈東京管理職ユニオンがTBSと結託して当社を潰しにかかる理由は「勤務1年未満の社員に1200万円払え」という要求に当社が応じないから〉などと投稿した。
 また放送後には、ネトウヨたちのこんなツイートを次々とリツイートしている。
〈青林堂が一方的に批判されるのはどうなの?左翼のプロパガンダに負けるな!〉
〈(註:パワハラを受けた男性について)こんなんだったら青林堂じゃなくてもクビにするだろ!? こんなヤツに限って権利だけはいっちょまえに主張だけはする...そして必ず心療内科を逃げ道にする。青林堂は間違っていないよ!〉
〈仕事をしないで金を取る。それを応援する弁護士、マスコミ。毎度のパターンか〉
〈それにしてもくそったれパヨクマスコミは酷いことしますね ただ愛国の為に頑張る青林堂さんをばかみたいに糾弾する〉
〈TBS NEWS 23 で青林堂の労使トラブルの報道。TBSはこういう営業妨害のニュースを一方的にやる卑怯者。〉
 青林堂はこうしたネトウヨの言葉を使って、あたかも自分たちが「左翼」たちにはめられたかのように演出し、そのうえで〈昨晩のTBSの報道に対して、数々の暖かい励ましのお言葉ありがとうございます!保守書籍の影響と勢いは地上波も無視できなくなってきているのでしょう〉などとツイートしている。
 しかもとんでもないことに、青林堂はこの期に及んで、在日コリアンに対するヘイトデマ攻撃まで行っていた。"TBSから取材にきた記者は、在日本大韓民国民団(民団)関係者の在日で、通名を名乗っている"などとして〈取材申し込み当初から当社を叩く気満々〉などとツイートしたのだ。しかしこれは大嘘。青林堂はのちにTBSから取材記者とは別人であると指摘され、該当ツイートを削除したが、このデマツイートだけでも、明らかに在日コリアンへの差別を扇動しようという意図が丸出しだ。
 自分たちのパワハラ、ブラック経営体質を棚に上げて、左翼攻撃と在日差別に転じようとするこの青林堂の姿勢は、まさにヘイト、ネトウヨの典型というべきだろう。自分たちは平気で人権を著しく侵害する差別攻撃を仕掛けながら、自分たちが批判されるとすぐに「言論弾圧だ」などと被害者づらをして陰謀論をわめきたてる――。
 実際、冒頭でも少し触れたが、現在の青林堂には「ガロ」の面影はまったくなく、むしろ筋金入りの"ネトウヨ出版社"と呼ぶのがふさわしい。『さらばヘイト本! 嫌韓反中ブームの裏側』(ころから)に収められているジャーナリスト・大泉実成氏による取材原稿のなかには、幹彦被告の元で2012~13年に「ジャパニズム」の編集長を務めた評論家・古谷経衡氏のこんな証言がある。
「この雑誌(「ジャパニズム」)はお金じゃないんですよ。採算度外視で、ほとんど蟹江の趣味。良く言えば彼の『理想』ということになる」
「蟹江の理想というのは、ネトウヨ路線なんです」
 古谷氏の証言によれば、古谷氏は編集長時代、幹彦被告の望む「過激なネトウヨ路線」を拒否したというが、「直前に彼の好む原稿と差し替えたり、著者をすげ替えたり、特集が変更になったりと、混乱の連続」だったという。結果、13年2月刊行号をもって編集長の任を解かれた。幹彦被告が編集長の意向を無視して強引に編集に介入していたとしたら、これも一種のパワハラに近い行為と言えるかもしれない。
 また、青林堂の元アルバイトは大泉氏に対して、幹彦被告の"素顔"をこう語っている。
「そもそも蟹江さん自身がネット右翼。ネットばかり見ている。在特会が大好きで、献金もしていたと聞いてます。
 もともと内向的な人で口下手な人。模型が大好きで、ミリタリー物も好き。萌え系のかわいい絵も好きな人で、『ジャパニズム』の表紙の萌え系イラストは、実は蟹江さんの趣味なんです」
 幹彦被告は萌えアイドルアニメ及びゲームの大ファンで、『ストライクウィッチーズ』や『ガールズ&パンツァー』などの、ミリタリーと萌えの混合的アニメを好んで見るという。まるで絵に描いたような"オタク系ネトウヨ"だが、実際、幹彦被告は07年に実弾発射機能を持つように改造したモデルガンを所持していたとして、銃刀法違反容疑で逮捕されたこともある。報道によれば、幹彦被告は「かっこよかったから」などと話していたという。
 しかも、こうした幹彦被告のゴリゴリのネトウヨ性は、青林堂の出版物だけでなく、同社のブラック経営体質にもつながっているとみるべきだろう。
 実際、ヘイト・ネトウヨ的思想をもつ経営者が経営する企業では、内部でもパワハラが横行していることがままあるからだ。
 たとえば、極右・歴史修正主義のスポンサー的な存在で、「南京虐殺はなかった」事を主張する本を客室セットしていた事が世界的にばれて大問題になっているアパホテルも、「週刊文春」08年1月3日・10日号で、「あの会社はまるで北朝鮮のようだ」という元従業員の証言とともに、元谷氏とその息子であるホテル専務の拓氏のブラック労働強制やパワハラがこれでもかと暴露されている。朝礼では「アパにふさわしくない人物がいる」と名指しで攻撃される、社員が判子を求めると目の前でわざと書類を落として拾わせる、さらに、アパの本社社員は新年、西麻布の元谷家を訪れ、元谷氏の孫にひとり2000円のお年玉を渡さなければならない、という信じられないエピソードまで明かされていた。
 15年のブラック企業大賞にノミネートされた「アリさんマークの引越社」では、研修で被差別部落出身者への露骨な差別が叩き込まれると言われ、追い出し部屋には「北朝鮮人は帰れ」という張り紙がなされたと社員が証言している。
 また、大手不動産会社・フジ住宅では、現役パート社員で在日コリアン3世の女性が、韓国や中国を批判する書籍や雑誌記事など、ヘイトスピーチを記した文書を社内で配布されたとして裁判所にハラスメント被害の訴えを起こしたが、同社には「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ育鵬社の歴史教科書採択運動に社員を強制的に動員したというパワハラ疑惑も指摘されている。
 ブラック企業のやり方も、ヘイトスピーチも、労働者やマイノリティを"敵"とみなし、弱者を徹底して吊るし上げ、排斥するという点で同じだ。そこには人間を人間としてみなさないという考え方が通底している。
 ブラック企業に対しては、最近、ネトウヨたちでさえ強く批判するようになってきたが、そろそろ気がついたほうがいいのではないか。ネトウヨ諸君は自分たちが不当に貶められている存在であり、一方で強大な「左翼・反日勢力」が不当に自分たちを攻撃・搾取しているとの妄想に駆られている。だが、実際にはブラック企業やヘイト思想のようなものこそ、人々が社会を生きづらくさせているのだ。
 今回『NEWS23』が報じた青林堂のパワハラ事件は、それを象徴するものだった。自分たちの味方のはずの"愛国出版社"が、実は忌み嫌うべきブラック企業だった──。その事実を、ネトウヨたちはしかと受け入れるべきではないだろうか。
(宮島みつや)

 この蟹江という男の経営能力はまったくないと言わざるをえない。
 要は弱者をいじめるだけしかない。藤子・F・不二雄氏の『ドラえもん』で出てくるジャイアンでも、いざという時はガキ大将らしく強いものに立ち向かうが、蟹江はジャイアン以下と言わざるをえない。そもそも「ヘイトの自由」なんてない。それは犯罪の自由そのものでしかないのだ。
 ヘイトブックを垂れ流していることを「経営上の問題」で逃れ、「他のジャンルの売り上げが減った分を保守本が補填してくれている」「憲法21条で言論、表現、出版の自由が認められている。うちのような本も左翼の本も出版されていて、読んだ上で論争が行われているのが正常な社会なのではないでしょうか」と妄想するこのアホに何を言っても無駄だが、私からこう言ってやろう。
 『パンツ一丁で福島第一原発の放射能除去を100年間やってろボケ!!それともメルトダウンした燃料棒を素手で拾ってくるかね』と。これも彼にとっては表現の自由である。ヘイトとパワハラを商品にしているだけでは馬鹿でも社長が務まるということである。