2016年11月18日金曜日

三越伊勢丹経営陣はドバイの幻想を捨てよ

伊勢丹軽営陣はドバイがお好き(小野哲)

テーマ:企業・市民 2009-09-07 06:47:34

 北海道の百貨店・丸井今井が民事再生法を申請し、三越伊勢丹HDが出資して「経営再建」を始めている。

京都新聞 2009年4月30日(木)
三越伊勢丹に正式決定 丸井今井の再建スポンサー

 民事再生手続き中の北海道の老舗百貨店、丸井今井(札幌市)は30日、再建のスポンサー企業に三越伊勢丹ホールディングスを選ぶことを取締役会で正式に決定した。午後には記者会見し、発表する予定。
 丸井今井は1月29日に民事再生法適用を申請。売り上げ減少に歯止めがかからない状況で、今後、三越伊勢丹をパートナーに再生計画案をまとめ、立て直しを急ぐ。
 計画案では、既存4店舗のうち旭川店は撤退や業態転換が濃厚。室蘭店も「2010年1月をめどに存廃を判断」との従来の計画が引き継がれ、存続は困難とみられる。
 スポンサー選定では、三越伊勢丹と高島屋の2社が支援を表明し、4月15日に再建案を丸井今井に提出。雇用を重視した丸井今井は当初、4店舗存続の方向を示した高島屋を軸に調整したが、最終的に譲渡額の高い三越伊勢丹を選んだ。(共同通信)

  まず、丸井今井の倒産原因は、消費者の求める大衆性を無視した伊勢丹の経営方針を鵜呑みにしすぎた事が大きい。イオンですらも小型店出店に舵を切っており、一地方都市の札幌にドバイ並の購買力を求める事自体が無理な話ではないか。伊勢丹の指導で改装した紳士服売場はボロボロの惨敗で、新宿本店の手法をそのまま衰退している北海道に持ち込むこと自体無理だ。よほど伊勢丹はドバイがお好きなのだろう。だが、ドバイなんて所詮は幻想そのものでしかなく、経済実態はそうは甘くはない。
 高島屋は鳥取県米子市、群馬県高崎市にある不採算店を残した上で子会社化して「つぶれたら終わり」と背水の陣を敷いて経営再建を果たした。そうしたノウハウは丸井今井に十分反映できる。110億円と三越伊勢丹HDの130億円に比較して安い上、銀行サイドに負担を強いるものだったが、私は高島屋案が理にかなったものであると断言する。丸井今井をだめにしたのは今井春雄、柴田哲治ら歴代無責任経営陣とそれを支えてきた北海道拓殖銀行、北海道銀行にある。ぬるま湯での再建では意味がない。高島屋は経営再建のノウハウがあり、それでダックビブレ(マイカルグループだった東北地方の百貨店で、現さくら野百貨店)の再建もアシストした実績もある(ただし、石巻・福島は撤退している)。
 カスミ(イオングループ・ 茨城県大手ストア)が展開している低価格店舗・フードオフストッカーは不採算店を改装しているが、去年10月の段階で売り上げは前年比14.7%と極めて高い。徹底 したコスト削減があるが、何よりも地元住民のニーズに答えている事が大きい(47NewSサイトより引用)。去年8月27日にテレビ東京系列で放映されたワールドビジネスサテライトではフードオフストッカー北本店(埼玉県北本市)が紹介されている。店に倉庫を持たず、店頭で売り切ることにより廃棄ロスを半分にし、正社員を極力減らしパート社員を中心にすることにより人件費を削減。その結果、生鮮品を通常の店舗よりも1~3割程安く販売している。売り上げは改装前と比較して1.5倍になり、黒字化に成功している。またこの番組で同時に取り上げられたMEGAドン・キホーテ(ドン・キホーテ運営)では子会社の長崎屋を改装しているが、改装開店1ヵ月の売り上げは三郷店で3.4倍、四街道店で2.5倍と順調である。今後半分以上の店舗を低価格店へと業態転換する方針ですでに改装は進んでいる。その関係でそうご電器跡地にあった旭川のドン・キホーテがMEGAドン・キホーテとして長崎屋に移転したのだ。
 イオン本体でも、低価格店を展開し始めた。コンビニや商店街の空き店舗などの小型店跡地にコンビニ型スーパーとして「まいばすけっと」「アコレ」を出店し始めた。2012年までに500店舗出店という。子会社のマックスバリュグループでも一部ディスカウントストアのザ・ビッグという店舗を運営し始めている。イオンのライバルであるセブンアンドアイもかつてやっていたDSのザ・プライスを運営している。主にイトーヨーカドーを改装しているが売り上げは伸びているため新店まで出す話が持ち上がっている。
 食品ストアがこれだけ必死に生き残りを図ろうとしているのに、百貨店は相変わらずブランドばかり。そしてイオンSCに出店したオンワード樫山に伊勢丹は間抜けな茶々を入れてイオンの激怒を買った。
  いずれにせよ、三越伊勢丹HDによる丸井今井経営再建は失敗請負だ。西武百貨店は老舗百貨店五番舘(買収前は高島屋と業務提携していた)を買収して立ち上げた札幌店を閉鎖して売却する。売却先は高島屋になる可能性が高い。セブンアンドアイはロビンソン百貨店ですらもイトーヨーカドーに改装した。セブンイレ ブンで分かっているように、セブンアンドアイは百貨店が時代遅れであることを知っている。そごう・西武百貨店に半ば強引にグループPBのセブンプレミアムを導入させたのも利益率の向上を優先したにすぎない。その他に札幌店の売却先としてパルコ、ヤマダ電機もあがっているようだが、最有力なのは高島屋なのは明らかだ(経営統合の相手である阪急阪神百貨店との重複店舗は少なく、余力はある/なお、ヨドバシカメラに土地は売却された)。
 伊勢丹には余力はない。というのは伊勢丹吉祥寺 店が来年3月末で閉鎖される。逆に言えば、新宿本店の余力はなくなったという事だ。それを知らない北海道銀行の経営陣も、北海道がドバイに見えるのだろう。こうしたおめでたいおバカさんの為に人生を翻弄される丸井今井従業員に私は同情する。

 このコラムを書いて、9月にこんなニュースが飛び込んできた。

判明!これが三越伊勢丹の「閉店リスト」だ | 百貨店・量販店・総合スーパー
http://toyokeizai.net/articles/-/134896
 千葉駅前の喧騒から一転。駅から徒歩5分程度に位置する三越千葉店(千葉市)は、休日にも関わらず客足もまばらで、ひっそりとしていた。
 三越伊勢丹ホールディングスは、この千葉店を2017年の春ごろに閉鎖することを決定した。

高級ブランドがそごう千葉店へ次々移転
 実はこの店舗、地元住民の間では数年前から閉店の噂が絶えなかった。店内を見ればそれも頷ける。
 百貨店の「顔」とも言える1階に、海外の高級ブランドはほぼ皆無。2010年代前半に、ルイ・ヴィトンやブルガリ、 ティファニーなどが、駅直結の大型百貨店、そごう千葉店に次々移転したことが大きな打撃だった。
 3フロアを占める婦人向け売り場にも、空きテナントが目立つ。
 売上高は、現在確認できる2009年から2015年度まで、7期連続で前年割れ。1991年度のピーク時には507億円あったが、今やその4分の1となる126億円まで落ちこんでいる。現在は、三越伊勢丹の全百貨店のなかで、最大の営業赤字を出している。
 同店では、かねてからテナントとして入居するビルの家賃交渉や、自前の売り場をテナント化するなどして、収益化を図ってきた。店舗運営も、追加の設備投資を極力減らして低コスト化を徹底。2009年からは、営業時間も短縮。朝10時から午後7時までの9時間営業とした。販売員のシフト勤務(早番・遅番の2交代制)をやめて、人件費を圧縮するのが目的だ。
 ただ、将来的に収益改善のメドがつかないことを踏まえ、9月6日の臨時の経営会議で、閉鎖に向けて最終決定がなされた。従業員の雇用は、ほかの支店や近隣のサテライト店への異動というかたちで、全員維持する。また、客からのニーズが高いギフト品など一部の商品は、閉店後に近隣へ三越の小型店を開業することで対応する。
 多摩センター三越(東京都多摩市)も2017年春ごろに閉めることを決めた。同店も営業赤字に陥っていたが、スーツファクトリーやライトオンなど、手頃な価格の量販店の入居が進み、ブランド価値が毀損していることが退店を決めた最大の理由だ。
 千葉店の苦戦の背景には、過酷な競争環境がある。1984年の開業時には、房総半島全域が商圏だったが、今や若者や家族連れは幕張のショッピングモールやアウトレット店へと足を伸ばす。 1993年には三越に隣接するビルにあったそごう千葉店が千葉駅前へ移転。新しくなったことや駅からのアクセスがよくなったことで、地元の百貨店愛用者も、三越よりそごうを利用するケースが増えた。さらに、自社の都心大型店もライバルだ。 「せっかく三越で買い物をするなら、地元の千葉店ではなく、日本橋店まで行く」(70代・女性)と考える客が少なくないからだ。
 地元の中小商店は、三越の退店によって、空洞化が進行するのでは、と悲鳴を上げる。千葉商工会議所の河野功常務理事は、「平日にはまだオフィス需要で人がいるが、土日になると一気に人が減る。採算が取れずに土日休業する店舗が続出し、ゴーストタウン化に拍車をかけている」と語る。三越の近くにある千葉パルコは、11月に退店する。さらに三越も閉店することで、人の流れはさらに悪化する可能性がある。
 今年に入ってから、百貨店業界では都心郊外店を閉鎖する動きが活発化している。セブン&アイホールディングスは、傘下のそごう・西武の郊外店計4店(大阪・八尾、茨城・つくば、千葉・柏、北海道・旭川)の退店を発表。阪急阪神百貨店を運営する エイチ・ツー・オーリテイリングも、大阪市郊外にある堺北花田阪急の退店を決めた。
 三越伊勢丹の場合、これまで不振店舗でも省コスト運営を徹底して営業を継続させる方針を取ってきた。2008年に三越と伊勢丹が統合して以降、2009~2011年に三越6店、伊勢丹1店を閉鎖したが、 それ以後は2014年にJR大阪三越伊勢丹を閉鎖したのみ。
 だが、郊外店の不振をカバーしてきた伊勢丹新宿店、三越銀座店といった都心旗艦店での業績がここにきて悪化している。2015年度に活況を呈したインバウンド消費が急激に落ちこんでいることが大きいが、 主力の衣料品の不振が深刻化していることも原因だ。こうした状況を受けて、従来の方針を変更せざるを得ない状況になったというわけだ。
■ 大西社長と社員の間に温度差
 足元では、三越千葉店の他にも、伊勢丹松戸店、同相模原店、同府中店が営業赤字。三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は東洋経済の取材に対し、「成長が望めず、設備投資をかけられないような店舗は、ここ2、3年のうちに手を打たなくてはいけない」と、上記の郊外店の閉鎖がさらに続くことを示唆した。
 三越伊勢丹ホールディングスでは、2016年度第1四半期(4~6月)決算で純利益が前年同期比44%減と、急激な業績悪化に見舞われている。閉店も決まる中、社内では経営陣の間に動揺する動きがみられる。さらに、業績改善に向けて、販売員の業績連動報酬やPB商品の拡充など、さまざまな改革案を繰り出す大西洋社長に、社員が温度差を感じている現状もある。
 ポスト大西体制も視野に、大西社長の求心力が今こそ問われている。
印南 志帆

 ハッキリ言っておかねばならない。
 今の三越伊勢丹はイオンの傘下に入らない限り、経営再建はまず無理だと言わざるをえない。イオンは成田にボンベルタという百貨店を抱えているほか、東北ではダイエー子会社の関係で中合を持っている。更にOPAというかつてのセゾングループで言うパルコに等しい存在を持っており、千葉三越、多摩三越、松戸伊勢丹、相模原伊勢丹、府中伊勢丹は百貨店事業からイオンモールが得意とする専門店の集積体に改装するだけで経営再建できると見ていい。高級食品店で言えばイオンはピーコックストアを持っているので、三越伊勢丹各店に出店する形で活用するだけでいい。後はユニクロ・ニトリをかけあわせるといいだろう。
 百貨店で言えば、小型店を出せばいいまでのことなのである。イオンをスポンサーに推薦するのには理由があり、イオン自身が地方百貨店の買収・再建に精通していることがある。イオンモールに三越伊勢丹を積極的に出店させるだけでも、三越伊勢丹の人件費の削減に繋がる。
 北海道民は丸井今井経営破綻で散々な目にあった。そして、その結果は旭川駅前のイオンモール(というよりは事実上のイオン百貨店)の進出である。皮肉なことに丸井今井は小型店を出さざるを得なくなってしまうなど札幌キラーとこの店舗は化してしまい、丸井今井の経営再建は苦境に立たされていると言ってもいい。函館では中合の運営する棒二森屋にズタボロにされる有様だ。
 経営再建の提案は、三越伊勢丹HDに中合、OPA、ボンベルタを吸収合併させ、三越伊勢丹の事業を三越伊勢丹HDに譲渡した上で、イオンが60%以上出資する形にして、赤字店舗をグループごと分割し、イオンモールが運営する専門店に改装することだ。当然、PBはトップバリュに切り替えてもらう他ワオンポイントの導入も待ったなしだ。三越伊勢丹については仙台のまいばすけっと出典法人にすればいいのである。札幌・函館については丸井今井、三越共に閉店すべきで、イオン北海道が運営するショッピングモールに移転してもらうのがいいだろう(跡地については障がい者雇用を促進する企業の拠点にするなどすればいいまでのことである)。函館については棒二森屋の中にアンテナショップを出せばいいまでのことで、『函館丸井今井』については『まいばすけっと函館』に改組してまいばすけっとの出店を行えばいいまでのことなのである。
 更にMIカードについてはイオンクレジットサービスに事業を譲渡し、譲渡後のMIカードについては『まいばすけっと千葉』として改組して千葉県に出せばいいまでのことである。ここまで厳しい提案を行うということは、それほど百貨店の改革は待ったなしということなのである。また、閉鎖によって生まれる余剰人員については旭川などに『まいばすけっと』を出店させてその運営者にするというのもいい。まいばすけっとは法人化されているので、イオン北海道が新たに『まいばすけっと旭川』(三越伊勢丹の改組)・『まいばすけっと札幌』(札幌丸井三越の改組)として分離独立して出店をしていけばいいまでのことである。